目次
はじめに
ビジネスシーンやフォーマルな場面で使う敬語は、相手への礼儀を示す大切なツールです。
しかし、敬語は「好きなように使える便利道具」ではなく、細かなルールに従う必要があります。
初心者が陥りがちな間違いを事前に知っておくことで、相手に失礼な印象を与えるリスクを減らせます。
この記事では、初心者がよく犯してしまう敬語の落とし穴を「ポイントごとに分けて」解説し、
それぞれの正しい使い方とチェックリストを紹介します。
ビジネスメールや面接、上司との会話で「敬語って大丈夫?」と自問自答する場面が多い方は、ぜひ最後までご一読ください。
1️⃣ 「おっしゃる」「申し上げる」の混同
落とし穴
- 「おっしゃる」は相手の発言に対して使う敬語
- 「申し上げる」は自分の発言に対して使う敬語
でも「おっしゃる」を自分の言っている内容に対して使うと、語弊が生まれます。
特に新人の方は、相手の話題を引用するときに「それでは、〇〇とおっしゃる」と言ってしまうケースが多いです。
正しい使い方
| 適切な場面 | 正しい表現 |
|---|---|
| 相手が何か言ったとき | 〇〇様は「〇〇」とおっしゃっていました。 |
| 自分が何か言うとき | 私は「〇〇」と申し上げます。 |
チェックリスト
- 「おっしゃる」は相手の発言に使用しているか?
- 「申し上げる」は自分の発言に使用しているか?
- 同じ文脈で「おっしゃる」と「申し上げる」を混同していないか?
2️⃣ 「くださる」「いただく」の時制ミスマッチ
落とし穴
「くださる」は未来・現在を指し、「いただく」も現在・未来を指すが、
「過去形」には「くださった」「いただいた」しか存在せず、
「くださる」を過去の出来事に使うと自然さが失われます。
例文
- ① 典型ミス:
> 「先週、田中さんに資料をいただる」 - ② 正しい:
> 「先週、田中さんに資料をいただきました」
正しい使い方
- 未来・現在:
→ 「いただく」「くださる」 - 過去:
→ 「いただいた」「くださった」
チェックリスト
- 文の時制(過去/現在/未来)は何か?
- その時制に合わせた敬語が使われているか?
- 「くださる」「いただく」の過去形に注意しているか?
3️⃣ 「〜いたします」の語形変化
落とし穴
「いたします」は「します」の丁寧形+敬語表現であり、
「私はいたします」と使う場合、
「私にしていただいた」は「いただいた」の方が自然です。
これを混同して「私にいたします」と言ってしまうケースが多いです。
正しい使い方
| 典型的なシチュエーション | 正しい表現 |
|---|---|
| 相手に何かをお願いする | 「こちらをお送りくださいいただきます」 |
| 自分が何か行動する | 「いたします」のまま使用 |
チェックリスト
- 「いたします」は「自分がする」場合のみ使用しているか?
- 「いただきます」「いただいた」など、相手に対しているというニュアンスがあるか?
- 「〜をいたします」が「〜していただきます」の「いただきます」に変わる場面はないか?
4️⃣ 「ございます」だけで敬語と勘違い
落とし穴
「ございます」は存在・あることを示す敬語ですが、
それだけで相手に敬意を示したと勘違いし、
他の重要な敬語(「おっしゃる」「申し上げる」等)が欠落するケースがあります。
失敗例
- ① 「ありがとうございます。ご提案ございました。」
→ 「をご提案があると聞くのではなく、ご提案を頂いたこと****が感謝の意味だと誤解」
正しい使い方
「ございます」で存在を示す場合、相手の行為や意図を強調したいときは必ず「おっしゃる」「いただく」の表現を併用します。
チェックリスト
- 「ございます」の後に、相手の言動や行為を示す敬語が入っているか?
- 「ございます」は存在を示す場面に限定して使っているか?
- 「申し上げる」「おっしゃる」など、他の敬語も併用すべき場面は無いか?
5️⃣ 「~のようです」や「~と思います」の敬語化のコツ
落とし穴
- 直訳すると「~のようです」「~と思います」がそのまま使われると、
親密な会話では自然ですが、ビジネスの場では「敬語不足」と捉えられることがあります。 - これを「敬語化」しないと、情報の裏付け不足に見えるリスクがあります。
正しい表現
| シチュエーション | 敬語表現 |
|---|---|
| 推測・不確定情報 | 〇〇に相当する可能性がございます。 |
| 相手の情報確認 | 〇〇でないかお伺いできますか? |
チェックリスト
- 推測である場合、「可能性がございます」と丁寧に伝えているか?
- 「思います」「ようです」と言うと、相手に対して無礼に聞こえていないか?
- 相手の承認を求める場面では「お伺いできますか?」・「ご確認いただけますか?」などを併用しているか?
📌 スマートな敬語習得のポイント
| テクニック | 具体例 |
|---|---|
| 敬語フレーズカード | 「おっしゃる」「いただく」だけでなく、相互補完フレーズをカード化し、繰り返し練習 |
| 「聞き取りチェック」 | 会話後に「私は…と言わなかったか?」「相手の発言を正確に引用できたか?」と自問自答 |
| ロールプレイ | 上司や同僚と模擬会話で敬語を使い、フィードバックを受ける |
| 専門書・動画 | 《敬語のはなし》などのリソースで、基本規則と実践例を反復学習 |
| チェックリストの活用 | 毎回会話前に5つのチェックリストで自己診断、間違い点を可視化 |
🌟 まとめ
敬語は「正しい姿勢」を映し出す鏡です。
1️⃣ ①から5️⃣のポイントに注意し、**「相手の発言」「自分の発言」「時制」「語形変化」「存在表現」「推測」**といった基本ルールを意識することで、
誤解や失礼のリスクが大幅に減ります。
- 「おっしゃる」・**「申し上げる」**は発言主体に対して区別。
- 時制に合わせた「くださる/いただく」を選ぶ。
- 「いたします」は自分の行為に限定。
- 「ございます」の後に相手の行動を補足。
- 推測は「可能性がございます」で確実に伝える。
継続的に練習とチェックを重ねることで、敬語は自然に身につきます。
次の会議やメールで、ぜひ今回紹介したポイントを実践してみてください。
「敬語ってこれぐらい?」と不安が消えたら、もう敬語は恐怖ではなく、コミュニケーションの武器になるでしょう。