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ARKサーバー構築&運用の極意:初心者から専門家まで徹底解説
イントロダクション
「ARK:サバイバル Evolved」を愛するプレイヤーの皆さん、サーバーを立ち上げることに興味はありますか? しかし、設定の手順が多すぎる、パフォーマンスの最適化方法がわからない、セキュリティやバックアップ設定に困っている――そんな悩みを抱えているのではないでしょうか?
この記事では、初心者が一歩目を踏み出せるように分かりやすく説明し、中級・上級のユーザーには役立つ詳細なヒントや応用テクニックも網羅します。実際に手を動かしてくれるよう、サーバー構築から日常運用、トラブルシューティングまでを順を追って解説します。
1. サーバー構築前に知っておくべき基礎知識
1.1 必要なハードウェアとスペック
| 項目 | 推奨スペック | 理由 |
|---|---|---|
| CPU | コア数 8〜16、クロック 3.0GHz 以上 | 大型ワールドや多人数同時接続には高い処理能力が必要 |
| メモリ | 16〜32GB | シミュレーションの処理やサーバーソフトウェアの負荷 |
| ストレージ | SSD、最低 200GB | 読み書き速度が高速で、ロード時間を短縮 |
| ネットワーク | 1Gbps 上限 | 高速ダウンロードとアップロードが可能 |
備考:クラウド VPS(DigitalOcean, Hetzner, Vultr など)を利用するのも一つの手です。初期投資を抑えつつ、必要に応じてリソースをスケールできます。
1.2 OS 以外の必須コンポーネント
| コンポーネント | 目的 |
|---|---|
| SteamCMD | Steamで配布されるサーバーソフトウェアのダウンロード・更新 |
| .NET Core / .NET 5+ | WindowsではなくLinux上で動作させるための環境 |
| データベース(SQLite) | 保存データに最小限の負荷を与える |
| バックアップツール | 定期的にバックアップを自動化 |
2. 基本構築手順(Windows 10+ / Linux)
2.1 Windows 環境でのセットアップ
-
SteamCMD をダウンロード
- 公式サイトから
SteamCMD.exeを取得し、任意のフォルダ(例:C:\ARKServer)に配置します。
- 公式サイトから
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SteamCMD でサーバーソフトをダウンロード
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steamcmd.exe +login anonymous +force_install_dir ./ARK +app_update 376030 validate +quit -
./ARKフォルダにサーバー用ファイルがダウンロードされます。
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起動ファイルの編集
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ShooterGame/Binaries/Win64/SetupServer.exeを実行して設定マクロ(.ini)を生成。 -
ShooterGame/Saved/Config/WindowsServer/GameUserSettings.iniおよびShooterGame/Saved/Config/WindowsServer/Game.iniを編集し、ゲームサーバーの基本パラメータを設定。
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ファイアウォール設定
- UDP 7777 と 7778(ゲーム)・9000(管理) を開放。
- Windows Defender を通している場合は特例として例外設定を追加。
-
サービス化
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sc create ARKServer binPath= "C:\ARKServer\ShooterGame\Binaries\Win64\ShooterGameServer.exe -config=ShooterGame/Saved/Config/WindowsServer/Game.ini -log" start= auto - サービスとして自動起動を設定。
-
2.2 Linux 環境(Ubuntu 22.04 LTS)でのセットアップ
-
必要パッケージインストール
sudo apt update && sudo apt install -y wget lib32gcc-s1 steamcmd -
SteamCMD の設置
mkdir -p /home/ark/steamcmd cd /home/ark/steamcmd wget https://steamcdn-a.akamaihd.net/client/installer/steamcmd_linux.tar.gz tar -xzf steamcmd_linux.tar.gz -
ARK サーバーのダウンロード
./steamcmd.sh +login anonymous +force_install_dir /home/ark/arkserver +app_update 376030 validate +quit -
.ini ファイルの編集
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/home/ark/arkserver/ShooterGame/Saved/Config/LinuxServer/内に設定ファイルを準備。
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-
systemd サービス作成
[Unit] Description=ARK: Survival Evolved Dedicated Server After=network.target [Service] Type=simple User=ark WorkingDirectory=/home/ark/arkserver ExecStart=/home/ark/arkserver/ShooterGame/Binaries/Linux/ShooterGameServer /Game/ShooterGame/Binaries/Server/ShooterGameServer -server -log Restart=on-failure [Install] WantedBy=multi-user.target-
/etc/systemd/system/ark.serviceとして保存し、systemctl enable --now arkで起動。
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-
ファイアウォール設定
sudo ufw allow 7777/udp sudo ufw allow 7778/udp sudo ufw allow 9000/tcp sudo ufw enable
3. パフォーマンス最適化
3.1 サーバー設定でのチューニング
| 設定項目 | 推奨値 | 効果 |
|---|---|---|
NumServerWorkers |
12〜16 | CPU 負荷分散 |
DefaultServerTimeScale |
1 | ゲームの時間速度(0.5~2 未満推奨) |
AutoSyncTime |
720 | 同期頻度 (秒) |
MaxWorldSize |
0.6 | ワールド拡張度 (0〜1) |
Difficulty |
0.7 |
難易度設定 (0.1〜1.5) |
MaxPlayers |
8 | 同時接続可能人数 |
UpdateRate |
64 | タイル更新頻度(低くすると負荷軽減) |
ポイント:設定値はワールドのサイズ・プレイヤー数に合わせて微調整。大規模ワールドなら
UpdateRateを 32 に下げることで負荷が大幅に減少します。
3.2 ネットワーク帯域の最適化
| カテゴリ | 推奨方法 | 具体例 |
|---|---|---|
| UDP 7777/7778 | 80% 以上をゲームプレイに確保 | /etc/sysctl.conf で net.core.rmem_max=2500000 など設定 |
| TCP 9000 | 管理ツールのアクセスに専念 | VPN で接続し、iptables で IP 制限 |
備考:パケット損失が多いと遅延が増加。
pingとtracerouteでネットワーク品質を確認。
3.3 ストレージの最適化
- NVMe SSD を使用:読み書き速度が格段に速いので、ワールドのロード時間を半分以下に短縮。
- RAID 1 / 10:信頼性を高めつつ、パフォーマンスを確保。
4. バックアップ・リカバリ戦略
4.1 自動バックアップスクリプト例(Linux)
#!/bin/bash
# ark_backup.sh
DATE=$(date +"%Y%m%d_%H%M%S")
ARCHIVE="/backups/ark_$(hostname)_${DATE}.tar.gz"
SERVER_DIR="/home/ark/arkserver/ShooterGame/Saved"
mkdir -p /backups
tar -cvzf $ARCHIVE $SERVER_DIR
# 30 日分だけ保持
find /backups -type f -name "ark_*.tar.gz" -mtime +30 -delete
-
cronで0 2 * * * /usr/local/bin/ark_backup.shへ設定し、毎日午前2時に実行。 - バックアップファイルは別サーバーへSCP で同期することでリスクを分散。
4.2 データベース(SQLite)バックアップ
-
shooter_game.dbはShooterGame/Saved/Config/内にあります。 -
sqlite3 shooter_game.db .dump | gzip > shooter_game_$(date +"%Y%m%d").sql.gzでダンプ。
4.3 テストリストア
- 期間的に定期リストアを実行し、復元時間(RTO)を測定。
- 1時間以内に復元できる設計を目指す。
5. モッドとプラグイン管理
5.1 モッドの導入手順
-
Steam Workshopからダウンロード
- 直接ファイルをダウンロードし、
/home/ark/arkserver/ShooterGame/Mods/配下へ配置。
- 直接ファイルをダウンロードし、
-
mod.json を更新
- 各モッドの
mod.jsonのLoadOnStartupをtrueに設定。
- 各モッドの
-
GameUserSettings.iniのModListに追加ModList="0x00DEAD42|modname" ; 0x00DEAD42 は任意 ID で各モッドごとに異なる
5.2 プラグインの活用
| プラグイン | 主な機能 | 推奨環境 |
|---|---|---|
| AdminCommands | 管理者コマンドの拡張 | Windows/Lunix |
| DynMap | Web ベースのマップ表示 | 任意 |
| ArkSyncServer | 複数サーバー間のデータ同期 | 高負荷サーバー |
注意:モッド数が増えると
UpdateRateなどの設定に影響が出るため、必ず負荷テストを実施。
6. セキュリティ対策
| 項目 | 実装例 |
|---|---|
| ファイアウォール | ufw (Ubuntu) で 7777/7778 UDP だけ開放。 |
| VPN | OpenVPN を導入し、管理ポート 9000 を VPN 内からのみアクセス。 |
| DDoS 防御 | Cloudflare や Cloud Armor で UDP トラフィックを最小化。 |
| 定期パッチ | apt-get upgrade を cron で自動化。 |
| SSL/TLS | AdminCommands の RPC API には HTTPS を使用。 |
ヒント:ARP 解析や SYN flood を検知して対策を講じるため、
fail2banを併用するとよい。
7. コミュニティ管理テクニック
7.1 ギルド/チーム構築のベストプラクティス
-
名前空間: プレイヤーが
NickName | GuildNameで表示されるようにGameUserSettings.iniのPlayerNicknameFormatを調整。 -
ロールベース:
AdminCommandsでSetRoleを使い、管理者・モデレーター・メンティなどを設定。
7.2 イベント運営
| 目的 | 手法 |
|---|---|
| アクション | CustomEvent スクリプトを使い、時間限定リスク/報酬を設定。 |
| コミュニケーション | Discord Webhook でゲーム内イベント通知。 |
| スコアボード | CustomScore API でプレイヤーのパラメータを取得し、トップ 10 を表示。 |
コツ:イベントは頻度が高いほどプレイヤーのアクティブ率が上がる。毎週末に恒例イベントを設けるとコミュニティが活性化します。
8. 代表的なトラブルシューティング
| 兆候 | 原因 | 対応策 |
|---|---|---|
| サーバーが頻繁にクラッシュ | メモリ不足 / 高負荷 | MaxWorldSize、UpdateRate を下げる。 |
| 低フレームレート | ネットワーク遅延 (高 ping) | 物理サーバーへ移行、または CDN を利用。 |
| データが瞬時に失われる | バックアップ未設定 / ファイル破損 | 定期バックアップスクリプトを作成、再生成を行う。 |
| モッドが動作しない | バージョン不一致 | サーバーとモッドのバージョンを一致させる。 |
| ライセンスエラー | SteamCMD の更新失敗 | steamcmd +login anonymous +app_update 376030 validate を手動で実行し、ログを確認。 |
8.1 デバッグヒント
-
Log ファイルは
ShooterGame/Logs/内に 30 日分保存。 -
-logオプションで詳細ログを取得。 -
grepで特定のエラーを抽出し、原因を突き止めます。
9. まとめ
ARKサーバー構築は初期設定が重要ですが、そこからは「自動化」「監視」「セキュリティ」の三本柱で安定運用へと導くことができます。
- ハードウェア選択でパフォーマンスの土台をしっかり固めましょう。
- 設定ファイルの最適化でプレイヤー数に応じた調整を行い、ネットワーク帯域をフルに活用しましょう。
- バックアップ・リカバリを自動化し、万が一に備える習慣を付けることが長期運用の鍵です。
- モッドやプラグインの管理により、ゲーム体験を常に進化させることが可能です。
- コミュニティ管理を丁寧に行えば、プレイヤーが長く集まり続けるサーバーが完成します。
本記事で紹介した手順や設定をベースに、自身のサーバーに合わせてカスタマイズしてみてください。
もし、実際に運用中に発生した具体的な問題や疑問があれば、遠慮なくコメントや問い合わせでご相談ください。
ARKでの楽しいサバイバルライフを、最高のサーバー環境でお届けします!