マインクラフトの世界を自分だけのサーバーで自由に楽しみたいと考えているとき、最初に直面する壁のひとつは「サーバーを自分のPCで構築する方法」だと思います。既に知っている人も、新しい環境での手順や設定項目に不安を抱えている人も、この記事では初心者に優しい形で、WindowsとLinuxの両方のOSでサーバーを立てる手順、設定のポイント、そして運用時に押さえておきたいコツを網羅しています。この記事を読むことで、2025年最新版の環境に合わせた最適な構成が浮かび上がり、スムーズにサーバーを起動できるようになるはずです。
目次
1. 何が必要か ― 前提条件のチェック
1.1 ハードウェアとネットワーク
- CPU: 2~4 コア(マルチプレイヤーが多い場合は4コア以上推奨)。
- メモリ:1人あたり4 GBの JVM ヒープサイズを割り当てると、15–20人であれば16 GB程度あれば十分。
- ディスク: SSD が望ましい。ワールドのサイズはプレイ内容により大きくなるので、最低でも50 GB の空き容量。
- ネットワーク: 1 Mbps 以上のアップロード帯域があれば、10人程度までスムーズ。
- ポート: デフォルトでは TCP 25565 を開放。ファイアウォール設定を忘れずに。
1.2 ソフトウェア要件
| 要件 | 推奨バージョン |
|---|---|
| Java Runtime Environment (JRE)** | 17 以上(2025年版では Java 17 が推奨) |
| コマンドラインツール | Windows なら CMD/PowerShell、Linux なら Bash |
| サーバーjar | Minecraft Official Server(バージョンに合わせた最新の jar) |
| 追加ツール | ① screen(Linux) ② Java Process Manager(Windows) ③ Plugins/Mods(Spigot/Bukkit/Forge) |
JRE vs JDK
サーバーを実行するだけならJREで十分ですが、MODを扱う場合はJDKが必要になるので、JDKをインストールしておくと安心です。
1.3 ネットワークとポートフォワーディング
家庭用ルーターでマイナスIPが自動で付与される場合、外部からのアクセスを許可するにはNAT設定で25565番を開放する必要があります。
また、DDNSを使うとIP変更時に自動でドメインを更新でき、外出先からも連携が楽になります。
2. サーバーを始める前に
2.1 Java のインストール確認
コマンドラインで以下を実行し、Java がインストール済みか確認します。
java -version
出力例:
openjdk version "17.0.6" 2023-10-17
OpenJDK Runtime Environment (build 17.0.6+10)
OpenJDK 64-Bit Server VM (build 17.0.6+10, mixed mode)
Java5 以前は 2021 年にサポート終了。必ず 17 以上を使用しましょう。
2.2 Minecraft Server JAR のダウンロード
公式サイトから最新版を取得。
curl -o server.jar https://launcher.mojang.com/v1/objects/<HASH>/server.jar
あるいは、ブラウザにて手動ダウンロードし、任意のフォルダーに配置します。
2.3 Mod / Plugin の選定
- Spigot / Paper: サーバー性能向上と Bukkit API でのプラグイン導入が可能。
- Forge / Fabric: Mod の導入が主。Java 17 に対応したバージョンを選ぶ必要があります。
- Velocity: プロキシサーバーとして、複数サーバー環境を統合できます。
初めての場合は Paper で十分です。Mod を入れたい場合は Forge の Java 17 対応版を入手し、別フォルダーに配置してください。
3. Windows でサーバーを構築する
3.1 フォルダー構成の作成
C:\MinecraftServer という名前のフォルダーを作り、その中にすべてのファイルを置きます。
C:\
└─MinecraftServer\
├─server.jar
├─eula.txt <-- 規約に同意
├─白紙worldフォルダー
└─configフォルダー
3.2 EULA に同意する
最初にサーバーを起動すると、eula.txt が生成され、内容を編集しないと起動しません。
eula=true
3.3 サーバーの起動
-
CMD を開く
右クリック → 「管理者として実行」 -
フォルダへ移動
cd C:\MinecraftServer -
サーバー起動
java -Xms4G -Xmx4G -jar server.jar nogui
-Xms と -Xmx は JVM に割り当てるメモリ量。上記例では4 GB を固定しています。
nogui は GUI が不要な場合のオプションです。
3.4 Windows Service 化(任意)
サーバーを Windows のサービスとして登録すると、電源起動時に自動起動し、管理画面からも開始/停止ができます。
sc create MinecraftServer binPath= "C:\MinecraftServer\start.bat" start= auto
start.bat は下記のようにします。
@echo off
cd /d C:\MinecraftServer
java -Xms4G -Xmx4G -jar server.jar nogui
3.5 バックアップと安全運用
-
worldフォルダの定期的バックアップを外付けディスクへ。 - Minecraft のアップデートは必ずサーバーを停止してから。
- サーバーログ
latest.logを確認し、クラッシュや警告の有無をモニタリング。
4. Linux でサーバーを構築する(Ubuntu 24.04 想定)
4.1 必要パッケージのインストール
sudo apt update
sudo apt install openjdk-17-jre-headless
4.2 フォルダ構成
mkdir -p ~/minecraft/server
cd ~/minecraft/server
server.jar と eula.txt などを配置します。
4.3 systemd でサービス化
サービスファイル /etc/systemd/system/minecraft.service を作成。
[Unit]
Description=Minecraft Server
After=network.target
[Service]
User=minecraft
WorkingDirectory=/home/minecraft/server
ExecStart=/usr/bin/java -Xms4G -Xmx4G -jar server.jar nogui
Restart=on-failure
SuccessExitStatus=143
[Install]
WantedBy=multi-user.target
-
minecraftユーザーを作成しておくと、権限が分離されてセキュリティ向上。
sudo adduser --disabled-login minecraft
sudo chown -R minecraft:minecraft ~/minecraft
サービスを有効化・起動:
sudo systemctl enable minecraft
sudo systemctl start minecraft
4.4 ファイアウォール設定
sudo ufw allow 25565/tcp
sudo ufw reload
4.5 バックアップ
cron で自動バックアップを設定。/etc/cron.daily/minecraft-backup に下記を書き込む。
#!/bin/bash
DATE=$(date +%Y%m%d%H%M)
tar -czf /backup/minecraft_${DATE}.tar.gz -C /home/minecraft server
chmod +x を忘れずに。
5. サーバー設定(server.properties)のコツ
サーバーの挙動は server.properties で細かく制御可能です。下記はおすすめ設定です。
| パラメータ | 推奨値 | コメント |
|---|---|---|
max-players |
20 | 友人人数に合わせて設定 |
difficulty |
3 | ハードに設定 |
gamemode |
1 | サバイバル |
force-gamemode |
true | すべてのプレイヤーを指定ゲームモードに |
pvp |
true | 攻撃を許可 |
spawn-monsters |
true | クリーチャー出現 |
spawn-animals |
false | 不要な動物を非表示 |
online-mode |
true | プレイヤーIDを検証 |
view-distance |
10 | 適度に見える範囲 |
max-tick-time |
600 | クラッシュ対策 |
max-world-size |
29999984 | ワールドサイズを拡張 |
ワールド作成時のトリック
ワールド名を world から myworld に変更すると、複数ワールドを扱いやすくなります。bukkit.yml で world-settings.*.seed を設定すると、種を手動で決められます。
6. ネットワークの設定
6.1 IP アドレスの取得
家庭内ネットワークの場合、DHCP で自動割り当てされたプライベート IP を確認します。
ip a # Linux
ipconfig # Windows
6.2 ポートフォワード
ルーターの管理画面で 25565 をフォワード。DHCP 静的アドレスを設定しておくと、IP が変わらず確定できます。
6.3 ダイナミックIP 対策
- DDNS (DynDNS, No-IP) を設定し、外部URLからアクセス可能にする。
-
dig等で定期的にIP を確認し、変更時に DDNS クライアントで更新。
7. サーバーの安全運用
7.1 ゲーム内での安全
-
allow-flightをfalseに設定。 -
spawn-protectionでクリエイティブ時の保護範囲を設定。 -
opコマンドで管理者だけに権限を付与。
7.2 アカウント管理
ops.json に管理者権限を与える。JSON 形式で複数格納でき、IP で制限も可能。
[
{
"uuid": "xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx",
"level": 4
}
]
7.3 RCON(リモート管理)
server.properties の rcon.port=25575 を設定し、RCON パスワードを指定します。
rcon.password=MySecretPassword
mcrcon などで管理できます。
8. 監視とパフォーマンス
8.1 Java の統計
jcmd ツールで GC のログやヒープダンプを取得可能です。
jcmd <PID> GC.heap_info
8.2 メモリと CPU の監視
- Windows:タスクマネージャーや
Resource Monitor。 - Linux:
top,htop,nmon。
server.log に Server stopped が頻繁に出る場合、メモリリークを疑います。JVM の -XX:+UseG1GC を試してみてください。
8.3 バックグラウンドタスクの除外
- 不要なプラグインは削除し、ロード時間を短縮。
-
paper.ymlでworld-settings.*.server-performanceをhighに設定。
9. まとめ
マインクラフトサーバーは、正しい Java 環境、適切な設定、そしてネットワークの整備があれば、初心者でも手軽に楽しめるものです。Windows では GUI を除外した軽量なコマンドライン起動、Linux では systemd と自動バックアップで安定運用が可能。server.properties の微調整でゲーム体験を自分好みにカスタマイズし、サーバーの安全とパフォーマンスを確保しましょう。
これで「初心者でも簡単!マイクラサーバー立て方と設定の完全ガイド(2025年版)」の全ての疑問に答えられたはずです。ぜひ自分だけのマインクラフトワールドを作り、仲間と楽しい時間を過ごしてください。
10. 参考リンク
- Mojang: Official Minecraft Server Download
- PaperMC: Paper Server
- Paper.yml & Config Guides
- DynDNS Official Site
- UFW でのファイアウォール設定(Ubuntu Official Guide)
- Ubuntu Package Repository: Java 17
これで、文献を参照しながら実際に設定・運用できます。ぜひ試してみてください。