目次
はじめに
Minecraftは「箱の中に無限の可能性」が詰まったゲームです。その魅力は単にブロックを積み上げるだけではありません。実際に自分でアイテムを作ったり、敵を撃退したり、独自の拡張機能を追加したりすることで、ゲームの世界を自在に操ることができます。
このガイドでは、初心者でも簡単に始められる「Minecraftを使ったプログラミング入門」を紹介します。手元にパソコンとMinecraftがあれば、わずか数ステップで最初のコードを書き、ゲーム内で結果を確認できます。
「プログラミングは難しくてやりづらい」と感じている方でも、ここを読めばイメージしやすい「コード=ゲーム内の魔法」として受け止められるはずです。
1. Minecraftとプログラミング:何ができるの?
Minecraftでプログラミングを行うと、以下のようなことが可能になります。
| 目的 | 実装方法 | 例 |
|---|---|---|
| サーバー拡張 | Bukkit/Spigot/Paper など | コマンドフローのカスタム、特権プレイヤーのみのイベント |
| データパック | Minecraft Bedrock / Java Edition data packs | レッドストーン回路の簡略化、特定イベントの起動 |
| マクロ/スクリプト | Skript、Denizen | シンプルなイベント処理、簡易AI |
| ゲームモード作成 | MakeCode (Bedrock) | ブロックを動かすプログラム、簡易プレイヤー操作 |
| GUI制作 | EssentialsX/Canvas など | クリックで実行されるメニュー |
プログラミングを学びつつ、Minecraftのゲーム制作スキルも同時に磨くことができるのが最大の魅力です。
2. 開発環境を整えよう
2.1 必要なもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Minecraft: Java Edition | バージョン1.18+ が推奨。サンプルサーバーも同一のバージョンに合わせてください。 |
| Java Development Kit (JDK) | 17 以上が安定。Oracle JDK もしくは OpenJDK をインストール。 |
| IDE | IntelliJ IDEA Community、VS Code など。 |
| Spigot / Paper | サーバーを起動できるプラグイン環境。 |
| Git | バックアップ/コーディング管理に便利。 |
備考:Java 版を使う場合、Minecraft のデータパックやリソースパックは「サーバー側でなく、クライアント側でのみ動く」ものにもありますが、ここでは最も一般的な「サーバープラグイン」型を紹介します。
2.2 サーバーの作成
-
Paper をダウンロード
- 公式サイト (https://papermc.io/) から最新のビルドの jar を入手します。
-
サーバーフォルダを作る
mkdir mc-server cd mc-server -
jar ファイルを配置
cp /path/to/paper.jar . -
開始スクリプトを作成
- Windows:
start.bat - Linux/macOS:
start.sh
# Windows java -Xms1G -Xmx2G -XX:+UseG1GC -jar paper.jar nogui# Linux/macOS chmod +x start.sh ./start.sh - Windows:
-
初回起動
-
eula.txtが自動生成されるので開き、eula=trueに設定後、もう一度起動します。
-
2.3 プラグインディレクトリ
- サーバーに
pluginsフォルダが生成されるので、そこに作成したプラグイン jar を置きます。 - 例:
plugins/HelloWorld.jar
3. 最初のプラグインを書こう:Hello World
3.1 基本的な構造
package com.example.hello;
import org.bukkit.plugin.java.JavaPlugin;
public final class HelloWorld extends JavaPlugin {
@Override
public void onEnable() {
getLogger().info("Hello, Minecraft world! 🎉");
getCommand("hello").setExecutor(new HelloCommand());
}
@Override
public void onDisable() {
getLogger().info("Bye, Minecraft world!");
}
}
-
onEnable()はプラグイン開始時に呼ばれます。 -
onDisable()はサーバーシャットダウン時に呼ばれます。 -
getCommand("hello")で/helloコマンドを登録します。
3.2 コマンドハンドラ
package com.example.hello;
import org.bukkit.command.Command;
import org.bukkit.command.CommandExecutor;
import org.bukkit.command.CommandSender;
import org.bukkit.entity.Player;
public class HelloCommand implements CommandExecutor {
@Override
public boolean onCommand(CommandSender sender, Command command,
String label, String[] args) {
if (sender instanceof Player) {
Player p = (Player) sender;
p.sendMessage("こんにちは!あなたは" + p.getName() + "さんです。");
} else {
sender.sendMessage("コンソールから実行されました。");
}
return true;
}
}
3.3 plugin.yml の設定
name: HelloWorld
main: com.example.hello.HelloWorld
version: 1.0
api-version: 1.19
commands:
hello:
description: こんにちはを返します
usage: /hello
3.4 ビルド
-
Maven でビルド例
<project ...> <dependencies> <dependency> <groupId>org.bukkit</groupId> <artifactId>bukkit</artifactId> <version>1.19.4-R0.1-SNAPSHOT</version> <scope>provided</scope> </dependency> </dependencies> </project> -
mvn clean packageで jar がtarget/HelloWorld.jar生成。 -
jar をサーバーの
pluginsフォルダへ置き、サーバーを再起動。コンソールにHello, Minecraft world!が表示されれば成功。
4. プログラミングの基本概念:Minecraftで体験しよう
ここでは「変数」「条件分岐」「ループ」「関数」の4つを実際に Minecraft 上で体験する方法を紹介します。Java を使うことで、サーバー内での状態管理やプレイヤーのインタラクションを細かく制御できます。
4.1 変数:プレイヤーのスコアを扱う
public class ScoreManager {
private final Map<UUID, Integer> playerScores = new HashMap<>();
public int getScore(Player player) {
return playerScores.getOrDefault(player.getUniqueId(), 0);
}
public void addScore(Player player, int amount) {
var current = getScore(player);
playerScores.put(player.getUniqueId(), current + amount);
player.sendMessage("スコアが +" + amount + " です。合計: " + (current + amount));
}
}
-
Mapを使って、プレイヤー UUID とスコアを一時的に保持。 - ゲームが続く限りこの情報を保持し、コマンドやイベントで参照できるようにします。
4.2 条件分岐:ブロックを壊したときの処理
@EventHandler
public void onBlockBreak(BlockBreakEvent event) {
Player player = event.getPlayer();
Block block = event.getBlock();
if (block.getType() == Material.DIAMOND_ORE) {
event.setDropItems(false); // ダイヤモンドをドロップしない
player.sendMessage(ChatColor.GOLD + "ダイヤモンドは破壊できません!");
}
}
-
if文でブロックの種類を判定し、条件に合う場合のみ特定の処理を実行。 - プレイヤーにメッセージを送ることで直感的に状況がわかります。
4.3 ループ:エンティティの一括削除
public void clearEntitiesInRadius(Player player, double radius) {
List<Entity> entities = player.getWorld().getNearbyEntities(player.getLocation(), radius, radius, radius);
for (Entity e : entities) {
if (!(e instanceof Player)) { // プレイヤー以外を削除
e.remove();
}
}
player.sendMessage("半径 " + radius + " ブロック内のエンティティを除去しました。");
}
-
forループでリスト内のエンティティを順に処理。 -
remove()を呼ぶと、そのエンティティがゲーム世界から消えます。
4.4 関数:プレイヤーをランダムにジャンプさせる
public void randomTeleport(Player player, double maxDistance) {
Random rand = new Random();
double offsetX = rand.nextDouble() * maxDistance * 2 - maxDistance;
double offsetZ = rand.nextDouble() * maxDistance * 2 - maxDistance;
Location loc = player.getLocation().add(offsetX, 0, offsetZ);
loc.setY(player.getWorld().getHighestBlockYAt(loc)); // 地面に合わせる
player.teleport(loc);
player.sendMessage("ランダムに移動しました! (" + offsetX + ", " + offsetZ + ")");
}
- 関数を使えば、同じ処理を何度も呼び出せます。
- ランダムに座標を生成し、プレイヤーをその位置へテレポート。
5. マインクラフトで作る簡単なゲーム:迷路バトル
5.1 仕組み
- 迷路:プレイヤーが隠れ、他のプレイヤーが追跡するゲーム。
- ゴール:最初に到達したプレイヤーが勝利。
- タイムリミット:時間が経過すると全員敗北。
5.2 必要なプラグインの要素
| 要素 | 実装例 | 役割 |
|---|---|---|
| 迷路生成 | バウチャーを使ったワンピース | プレイヤー数に合わせてマップ作成 |
| ターゲット認識 | エンティティ追跡 | 追跡AI を実装 |
| タイマー | Bukkit スケジューラ | 競技時間の管理 |
| 勝敗判定 | エベントハンドラ | ゴール到達時に処理を呼び出す |
5.3 コードの抜粋
迷路生成
public void generateMaze(World world, int size) {
Block start = world.getBlockAt(size / 2, 70, size / 2);
start.setType(Material.GOLD_BLOCK);
// もっと複雑なアルゴリズムを叩く場合は外部ライブラリ等を利用
}
追跡 AI
@EventHandler
public void onEntityMove(EntityMoveEvent event) {
if (event.getEntity() instanceof Player target) {
if (target.getName().equals("Hunter")) {
Player hunted = // 追跡対象を取得
hunted.setVelocity(target.getLocation().toVector().subtract(hunted.getLocation().toVector()).normalize().multiply(1.5));
}
}
}
タイマー設置
Bukkit.getScheduler().runTaskTimer(this, () -> {
// タイム経過をチェック
broadcastMessage(remainingTime + " 秒残り");
}, 0L, 20L); // 1秒ごとに実行
6. バグ修正・デバッグのコツ
6.1 ログ出力
getLogger().info("デバッグ: 変数値 = " + value);
- 何が起きているか確認できるため、問題箇所の特定に役立ちます。
6.2 例外スタックトレース
try {
// 何らかの処理
} catch (Exception e) {
e.printStackTrace();
}
- エラー発生時に詳細情報をコンソールで確認できます。
6.3 プレイヤーへの通知
player.sendMessage(ChatColor.RED + "エラーが発生しました。管理者に連絡してください");
- プレイヤーに情報が伝わることで、ゲームの公平性を保つことができます。
7. ベストプラクティス:初心者が避けるべき落とし穴
| 落とし穴 | 回避策 |
|---|---|
| プラグインの再起動忘れ | 環境で reload -f を行い、IDE から jar を再置き換え後すぐにサーバーを再起動 |
| ハードコーディング | 定数は config.yml への外部化を行い、変更時の手間を減らす |
| オブジェクトのリーク | イベントリスナーを解除(HandlerList.unregisterAll(plugin)) |
| メモリ不足 | 1GB 以上の Java ヒープを確保、-Xmx2G などで上限を設定 |
| 不正なプレイヤー操作を許容 | PermissionsEx などで権限管理し、コマンドへのアクセスを制限 |
8. さらに進めるには:Modding とゲーム全体の設計
- Forge / Fabric:Java Edition の Mod 開発フレームワーク。
- MakeCode (Bedrock Edition):ビジュアルプログラミングで簡単にブロックを動かす。
- NeonForge / Velocity:軽量サーバーで高性能なゲームモードを構築。
- データパック:リソースを追加し、プレイヤー体験を拡張。
さらに学習を進める際には、以下の資料を参照するとよいです。
| 資料 | 内容 |
|---|---|
| 公式 Spigot / Paper ドキュメント | API リファレンス、ベストプラクティス |
| Minecraft の公式フォーラム | デバッグ情報、アイデアの共有 |
| GitHub のオープンソースプラグイン | コードリーディングで学習 |
| 「Minecraft Modding」オンライン講座 | ゲーム全体の設計から実装まで |
9. まとめ
-
Minecraftは学習ツール
プラグインを通して、実際に「コード=ゲーム内の魔法」を体感できるので、プログラミングの概念をゲーム感覚で習得できます。 -
基本概念を体験
変数、条件、ループ、関数をプレイヤーのスコア管理やエンティティ操作で実装することで、コードの意味が直感的にわかります。 -
ゲームの設計
迷路バトルのような簡単なゲームを作れば、実際のイベント駆動やスケジューラの使い方、タイムリミット、勝敗判定を学べます。 -
デバッグは必須
ログ、スタックトレース、プレイヤー通知を適切に使うことで、バグは直ちに特定し、修正できます。 -
ベストプラクティスを守る
ハードコーディングの代わりに設定ファイル化、イベントの解除、メモリ管理などを行い、サーバーの健全性を保ちましょう。
最初は小さなスクリプトから始め、徐々に機能を追加していくことで、楽しく継続的に学習ができます。これが「マインクラフトで学ぶプログラミング」の大きな魅力です。ぜひ、クリエイターマインダーに挑戦してみてください!