UbuntuでOpenVPNを利用するための設定は、セキュリティを強化し、社内ネットワークへの安全なアクセスを実現するために非常に重要です。本記事では、技術に不慣れな方でも理解できるよう、ステップバイステップでOpenVPNをUbuntuにインストールおよび設定する方法をご紹介します。
目次
OpenVPNとは?
OpenVPNは、仮想プライベートネットワーク(VPN)を作成するオープンソースのプロジェクトです。VPNはインターネットを通じてプライベートネットワークを安全に利用するための方法で、ビジネス環境や個人利用を問わず、セキュリティを強化する手段として広く利用されています。
Ubuntuの準備
まず、OpenVPNをインストールする前に、Ubuntuシステムを最新の状態にしておく必要があります。これにより、ライブラリやパッケージの互換性の問題を避けられます。
sudo apt update
sudo apt upgrade -y
これでシステムが最新状態になりました。次に進みましょう。
OpenVPNのインストール
次に、UbuntuにOpenVPNをインストールします。簡単にインストールできるように、Ubuntuのパッケージ管理ツールであるapt
を使用します。
sudo apt install openvpn -y
インストールが完了したら、インストールが正しく行われたかを確認するために、OpenVPNのバージョンを表示してみましょう。
openvpn --version
これにより、インストールが成功したかどうかが確認できます。
サーバー設定のための初期設定
OpenVPNを設定するには、サーバー構成ファイルが必要です。Ubuntuにあるサンプル設定ファイルを使用して新しい設定ファイルを作成します。まず、設定ファイルをコピーして保存します。
sudo cp /usr/share/doc/openvpn/examples/sample-config-files/server.conf.gz /etc/openvpn/
cd /etc/openvpn/
sudo gzip -d server.conf.gz
これでサーバーの構成ファイルが用意できました。次に、これを編集して自身の環境に合わせた設定を行います。
OpenVPNサーバーの構成
サーバー構成ファイルは、VPN接続の詳細な設定を行うためのものです。ここにはポート番号、プロトコル、認証方法など重要な情報が記載されます。
設定ファイルの編集
設定ファイル/etc/openvpn/server.conf
をテキストエディタで開きます。
sudo nano /etc/openvpn/server.conf
ここで基本的な設定を変更します。通常、デフォルト設定で機能することが多いですが、次のような項目を確認しましょう。
-
port 1194
: デフォルトのVPNポート。必要に応じて変更します。 -
proto udp
: UDPプロトコルを使用している場合。TCPを使用する場合はproto tcp
に変更。 -
server 10.8.0.0 255.255.255.0
: VPNを通じてクライアントに割り当てられるIPアドレス群。
暗号化のための鍵と証明書の設定
OpenVPNはセキュリティを確保するために証明書を使用します。easy-rsa
を用いて鍵を生成します。
sudo apt install easy-rsa -y
make-cadir ~/openvpn-ca
cd ~/openvpn-ca
vars
ファイルを編集し、KEY_COUNTRYやKEY_ORGなどの値を自身の情報に置き換えてください。これらの設置が完了したら鍵を生成します。
source vars
./clean-all
./build-ca
./build-key-server server
./build-dh
このとき、様々な質問が表示されますが、基本的にデフォルトで進めて問題ありません。
IP転送の有効化
UbuntuサーバーでIP転送を有効にする必要があります。これはクライアントがVPNを通じてインターネットにアクセスするために必須の設定です。
sudo nano /etc/sysctl.conf
設定ファイルの中で、次の行を見つけてコメントを外します。
net.ipv4.ip_forward = 1
変更を保存したら、次のコマンドで変更を適用します。
sudo sysctl -p
ファイアウォールの設定
ファイアウォールを設定し、VPN接続が確立されるようにします。UFW(Uncomplicated Firewall)を使用して設定します。
sudo ufw allow 1194/udp
sudo ufw allow OpenSSH
sudo ufw enable
ファイアウォール設定が完了したら、OpenVPNサーバーを起動します。
sudo systemctl start openvpn@server
sudo systemctl enable openvpn@server
クライアント用設定ファイルの作成
クライアントがサーバーに接続するための設定ファイルを作成します。サーバー証明書と鍵を含めた設定ファイルが必要です。
cd ~/openvpn-ca/keys
sudo cp ca.crt server.crt server.key /etc/openvpn/
client.ovpn
という名前で以下のクライアント設定を保存します。
client
dev tun
proto udp
remote [YOUR SERVER IP] 1194
resolv-retry infinite
nobind
persist-key
persist-tun
ca ca.crt
cert client.crt
key client.key
comp-lzo
verb 3
OpenVPNの接続確認
すべての設定が完了したら、クライアントマシンから接続テストを行います。OpenVPNクライアントを使用してclient.ovpn
でサーバーに接続し、動作を確認してください。
最後に
今回は、Ubuntu上でOpenVPNを設定する手順を詳細に解説しました。環境やネットワーク設定によってカスタマイズが必要となる場合もありますが、基本的な手順としては以上の内容を参考にしていただければと思います。VPNの導入により、安全でプライバシーが保たれるネットワーク接続を手に入れましょう。
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